第4章 アネモネ *尾浜勘右衛門*
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「俺…和歌菜と付き合うことになったんだ。」
あの買い物から数日。
アレ以降も2人はよく出かけたり一緒に豆腐料理を食べたり何だったら一緒に勉強をしたりしていたようで、ついにこの時が来てしまった。
今は、夕食の時間で5年生全員で食堂に集まっていた時だ。
そのタイミングでのカミングアウトに、食堂にいた者達もその話でもちきりになった。
「久々知先輩!和歌菜先輩とお付き合いしてるですか!?」
「いいなー!」「おめでとうございます!!」なんて後輩たちは兵助に対してそんな言葉を並べていたが、俺と八左ヱ門は複雑だった。
あれから2人で2人きりにさせないように話に割って入ったり、兵助よりも先に彼女に話しかけたりしていたがそれでも交際は止められなかったのだ。
「兵助!!」
後輩達に囲まれている兵助に声をかけたのは八左ヱ門だった。
八左ヱ門は兵助に笑顔を見せて・・・
「よかったな!!」
と、満面の笑みで言う。
兵助も嬉しそうに「ありがとう!」と笑っているが、俺には分かった。八左ヱ門が今にも泣きそうになっていたことを・・・
だから、俺は尚更俺は諦められなかった。
交際しているとはいえまだなんとかできるだろうと思い・・・