第4章 アネモネ *尾浜勘右衛門*
「大丈夫か?どこか怪我とかは…」
『してないですよ、ありがとうございます。でも、あの顔はやりすぎです。』
「あ…あの」
「そ…そうか?じゃあ行こうか。」
と、なんとか話しかけようとする女店員を兵助は完全に無視をしてうどん屋を出て行った。彼女は少し店員の事を気にかけていたが・・・
「おいおい…。完全にうどん屋の娘さんに惚れられてるじゃねえか兵助の奴…」
「それに一切気づいてない…。ある意味兵助らしいな」
「だな…。あっ!次の店に入った。行くぞ…!!」
と、改めて2人を追って行くが・・・
結局2人はそれ以降は何もなく2人は学園への帰路につき始めた。
「…なんか、茶化すネタも特になかったな。」
「だな、普通に2人の買い物風景を見ただけだったな」
「そうだな。…あ」
木の陰から2人を見ていたら2人が突然足を止めた。
何を話しているのかは聞こえなかったが、何か兵助が照れながら話していて彼女がニコッと笑ったら兵助の荷物を持っていない方の手を取った。そしてまた2人で手を繋ぎながら歩いていった。
俺達2人はその様子を見て・・・一瞬だが兵助に殺意が沸いた。
「…やっぱ負けたくないな」
と、八左ヱ門がコソっとつぶやいた声が聞こえた。
さっきまでの悔しそうな顔とは打って変わって嫉妬心剥き出しで言っていた。それを聞いて俺も、ちょっと本気で行こうかと思ってしまおうかと思ってしまった。