第4章 アネモネ *尾浜勘右衛門*
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「和歌菜!!」
『ん?あ、勘右衛門さん!』
風呂上りであろう彼女を待ち伏せして声をかけてみた。
改めて風呂上りの彼女を見ると、やっぱり13歳にしては色気があって魅力的だった。
「兵助と付き合い始めたらしいな!」
と、俺から話を振ってみた。
すると彼女はお風呂上りにしても異常なほど頬を赤くしてしまった。
『へ…兵助さんからお聞きになったんですか?』
「…あぁあいつめちゃくちゃ自慢しまくってるぞ。あの豆腐小僧の兵助が!!」
と、笑ってみたがそれでも照れがおさまらないようで持っていた手拭いで顔を隠していた。その姿があまりに可愛くて・・・俺は思わず顔を隠している手をつかんでしまった。
『えっ…か、勘右衛門さん?』
「あぁ~あ、兵助にはもったいないな~。…俺にしない?」
なんて、半分本気で言いながら彼女の顔に近づいていく。
すると彼女は、瞬時に1歩後ろに下がり懐に手を伸ばした。さすがに暗殺者ではなくなったけど、何かしら暗器は持っているようだったが、それで確信した・・・。
「…フフ、冗談だよ!じゃ、おやすみな!兵助に何かされたらいつでも相談に乗るからな。」
と、彼女の手を離して頭をポンと撫でてそこから立ち去った。
後ろから彼女が『おやすみなさい!』と言ってきたから手をあげて返事をするけど・・・
やっぱり悔しかった。
もっと早く彼女の良さに気づいていれば・・・
もっと彼女とたくさん接していれば・・・
暗殺者だから・・・なんて思わなければ・・・
「あぁ…なんで好きになっちゃったんだろう…」
そんなことをつぶやきながら、俺はゆっくりと部屋に戻っていった。
さて、今夜は豆腐の事か彼女の事か・・・
どっちの話を延々とされるのかな・・・
*END*