第4章 アネモネ *尾浜勘右衛門*
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「ふふんふ~ん。おや?久々知君に和歌菜さん!」
「こんにちは小松田さん。外出許可証です。」
『あたしも、お願いします。』
「はい、確かに。今日は2人でお出かけかい?」
「はい、ちょっと町まで」
「そっか、気をつけてね。」
数日後の休み、兵助と和歌菜はさっそく外出届を出して、忍術学園から出て行った。
俺と八左ヱ門は、2人が出てからしばらく経ってから小松田さんに外出届を出して2人を追いかけた。
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「どうだい?決まったかい?」
『うーん…まだです。』
「俺はこういう派手なのもいいと思うけどな」
『いえ、派手だと暗器として使えないのでこういうシンプルな…』
「暗器って…」
町に来た2人はさっそく簪の店に立ち寄っていた。
彼女の方が2本の飾りの少ない簪で迷っているようだった。
『うーん…』
「和歌菜」
『すみません、もう少し…』
と、彼女が2本の簪を眺めていると兵助が声をかけた。彼女が顔を上げて兵助を見ると兵助は彼女の頭に藤の花を模った派手で綺麗な簪を宛がった。
『えっと…兵助さん?』
「うん、やっぱり和歌菜にはこういう派手なのが似合うな」
『いえ、ですから…』
「和歌菜、今日くらい忍者とか忘れて普通の女の子として買い物してみたらどうだ?気分を変えて…な?」
『あ…そうですね。この藤の花の奴、実は一番最初に目をつけていたんです。兵助さんからのお墨付きもいただきましたし、これにします!』
と、彼女は2本の簪を置き兵助が持っていた簪を手にして店主に代金を渡して早速髪をまとめていたところに刺してみた。
『どうですか?』と兵助に聞くと兵助は少し照れたような表情をしながら「よく似合ってる」と言って笑った。