第4章 アネモネ *尾浜勘右衛門*
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俺と守一郎…じゃない、浜子と和歌菜は町の中で調査を始めた。基本は女装をしている俺と浜子が聞き込みをし、和歌菜がその後におかしな行動をとっていないかの監視を行っていた。
「…ここは、そこまで怪しい情報はないみたいだな。よし、ここらで切り上げよう!…ん?守いち…あ、浜子どうした?」
『…着物のせいで足が疲れてこむら返りしちゃったみたいで…』
「えぇ~…じゃああそこの甘味処で休もうか」
『えっ!?あ…あぁ』
露骨に喜びを表しそうになった彼女は今は男装していると気づいたようで何とかグッとこらえて返事をした。それはそんな姿がちょっと可愛くなってふぅ…とため息をついてさらに提案した。
「…じゃあ、休憩も兼ねるから変装を解こうか。」
『は…はい!』
と、俺と守一郎と和歌菜は一瞬でいつもの外出着に戻って調査をしていたところの近くにある甘味処に入った。変装を解いた瞬間彼女はなんとも嬉しそうに店内に入っていった。
『あぁ~やっぱりココの甘味処の宇治抹茶パフェ美味しい~!』
「はぁ…やっと終わった。」
4年生2人と甘味処に入り俺とすっかり疲れ切った守一郎はお茶と饅頭を、和菓子が好きな和歌菜は、この店でお気に入りだという菓子を食べている・・・パフェというらしい。
「和歌菜、ずいぶん美味そうに食べるんだな。」
『はい!ココのお店の和菓子は美味しいって人気なんですよ。』
「そうか、俺はあまり和菓子は食わないから知らなかった。」
『そうなんですか。…よかったら一口どうぞ!』
と、俺の正面に座っている和歌菜が俺の前にパフェを乗せた匙を差し出してきた。俺は最初は少し驚いたが、素直にそれを口に入れた。
「…おっ、意外とうまいな!」
『そうでしょ?コレが特にお気に入りなんですよ!』
と、なんとも女らしい表情で楽しそうに話している彼女を見て少しだけキュン…としてしまった自分がいた。
これは確かに、兵助も喜んで豆腐を振舞うはずだ
こんなに楽しそうに、嬉しそうに食べてくれるのなら