第3章 ミニバラ *七松小平太*
『こ…小平太さ…?』
「ごめん!!!」
彼女を抱きしめたまま七松はものすごく大きな声で彼女に謝罪を言う。抱きしめられているため彼の大声は彼女の耳にダイレクトに届き耳がキーン!としたが、彼は気にせずつづけた。
「私!本当にお前の事が好きなんだ!!それで…お前がくのたま達と話しているのが聞こえたんだ。それで私のいつものいけいけどんどんで接したらお前に嫌われると思い我慢してたんだ。でもあの時…本当にごめん!!」
彼女を抱きしめたまま大声で言う七松に、彼女はまた彼をギュッと抱きしめ返した。そして七松はゆっくりと離れ彼女の顔をじっと見た。
「和歌菜…あの…」
『…小平太さん、お聞きしたいことがあります』
「…へ?」
『好きとか恋ってどんな感情何ですか?』
「どんな感情?」
『はい、あたし正直好きって気持ちはただの勘違いだと思ってるんです。でも最近、小平太さんと鍛錬したり出かけたりするとなんというか、この辺がカーっと熱くなると言いますか…ほっぺが熱くなるというか…』
そう言って胸の辺りと頬に手を当てて七松に尋ねてみる。
すると七松は彼女の手をとりその手を彼の胸元に手を当てた。
『小平太さん?』
「ほら、どうだ?私の胸の鼓動…よく分かるだろう?コレは私が好きなお前と一緒にいるからだ、お前が好きだからだ。和歌菜はどうだ?」
七松の胸元に手を当てている彼女の手には、確かにドク…ドク…と大きな音が感じられる。彼女は空いている自分の手で自分の胸にも当ててみた。すると、彼と同じように鼓動が聞こえてきてでもそれはいつもよりも早い音が聞こえてきた。
『…いつもより早いです』
「鼓動が早いのは、好きな人と一緒にいるからだ。好きな人を思うと鼓動が早くなるんだ。そうすると胸が熱くなり頬が熱くなる。それが恋をしていることになるんだ」
『…じゃあ、やっぱりあたし…小平太さんが好きなんですね』
と、彼に伝えると七松は何を思ったか突然彼女の手を離して立ち上がったと思ったら彼女を抱え上げて猛ダッシュで原っぱの近くの森の中に入っていった。