第3章 ミニバラ *七松小平太*
「なっ!待て!!」
すぐに七松も苦無を構えて応戦するがやる気満々の彼女は鉄扇を振るっていく。が、さすがは6年生すぐに彼女の動きを超え始めた。
「おい!和歌菜…!!」
『なんですか!?今日は、あたしが勝ちますよ!』
「…私に勝とうなんて…10年早い!!」
と、七松はさっきまでの表情とは打って変わっていつもの七松に戻っていた。完全に獲物を狩る目つきをしていて彼女に襲い掛かってきた。彼女も今まで鍛錬をしてきたとはいえまだ七松に勝てるわけもなく・・・
「はぁ…また私の勝ちだな!」
『…ッ!』
結局また七松に上を取られてしまい、また苦無を喉の辺りに宛がわれて彼女が悔しそうな顔をした。
「…もういいだろ?私の勝…ッ!?」
『いえ…あたしの勝ちです』
七松は彼女に勝ったと思い、宛がっていた苦無を彼女の喉元から離れた。彼女はその一瞬の隙をついて手にしていた鉄扇を開き七松の首元に刃をギリギリ当たらないところで止めた。
さすがの七松も驚いていたが、刃物を喉元に宛がわれているため身動きが取れずに「…参った」と、彼女は初めて七松から勝ちを取ったのだ。
『…ふぅ、勝った…』
「はぁ…まさか、お前に負けるとはな!大したものだ!」
と、七松は彼女の頭を撫でる。
でもすぐに七松はすぐに焦ったように彼女から離れた。が、彼女は七松の腕を掴んで逃げないようにした。
『待ってください、勝ったらお願い聞いてくれるんですよね』
「へ…あ、あぁ…」
『あたしからのお願いは…』
というと、彼女は自分の上にいる七松の首に手を回して引き寄せた。七松はいきなりそんなことをされて心底驚いていた。
「和歌菜…⁉」
『すみません…なんだか、こうしてないと小平太さんもう一緒に鍛錬してくれなくなってしまいそうで…しばらくこう…』
と、彼女が力を少し強めて七松をぎゅすると今度は七松が彼女の身体を力いっぱい抱きしめた。