第3章 ミニバラ *七松小平太*
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あの実習から数日経った。
あれ以来、七松は彼女に鍛錬の誘いをしなくなった。それどころか七松は彼女の気配を感じるとすぐにどこかへ行ってしまう始末だ。七松と同じ委員会の滝夜叉丸にも「あの七松先輩に一体何をしたんだ!?」と半分説教をされた・・・。
『長次さん…一体どうしたらいいですか…?』
彼女は相談に乗ってもらおうと図書室を訪れ中在家に尋ねた。
中在家は少し黙って開いていた本を閉じた。そして・・・モソモソと彼女に話をした。彼女は何か納得したようで図書室からダッシュで出て行った。
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彼女は、いつもの鉄扇を手によく七松と鍛錬をしていた原っぱにやってきた。そして、どこから取り出したのかバレーボールを1つ手に持ち・・・
『せーの…レシーブからの…トスッ!!!』
と、1人でレシーブをし流れでトスを繰り出す。
空高くトスを上げると、遠くからドドドドドドドドド!!!という地鳴りが聞こえてきた。彼女は少し離れると近づいてくる地鳴りをじっと待った。・・・すると、予想通りの人が現れた
「いけいけどんどーーん!!!アターーーーック!!!」
と、彼女が思った通りトスされたバレーボールめがけて七松が突進しどこかへ向けてアタックを決めた。バレーボールはどこかへ飛んでいったが、彼女は着地した七松を呼び止めた。
『小平太さん!』
「あ…和歌菜…。」
何か言いたそうにもじもじしながら彼女から離れようとする七松を強い口調で止めて一言いう。
『小平太さん!!あたしと鍛錬しましょう!!もちろん実戦で!!』
「へ…な、なぜ…」
『細かいことは気になさらないでください!!来ないなら…こちらから行きます!!!』
と、いつもの七松のセリフを取ってまで七松を引き留めた。
しかし七松は全く乗り気ではない様子だったため、彼女は有無を言わさずに七松に扇を開いて切りかかった。