第3章 ミニバラ *七松小平太*
『あ…ぁ、うっ…』
すっかり抵抗ができなくなってしまった彼女はなぜか七松の手が入ってくるのを阻止できなくなってしまい、たまらず彼女はギュッと目を閉じた。すると・・・
「いっ…痛ててて!!」
と、七松の声が聞こえてきたため彼女はまたゆっくりと目を開けた。目を開けると目の前には七松がいなくなっていて代わりに目線の上の方で七松が中在家に腕を固定されていた。
「…和歌菜、大丈夫か?」
『あ、ち…長次さ…』
中在家が彼女に問いかけると、彼女は思わず目から涙が流れた。その涙を急いで拭うが、それを見た七松が小さく「あ…」とつぶやいた。
「…あ、和歌菜…ごめ、私…ッ…!!」
七松は何かつぶやいたと思ったら、中在家の腕を振り払ってどこかへ行ってしまった。
残された彼女は、また目元を拭って立ち上がった。
中在家が彼女の肩にポンと置いて彼女に話しかけた。
「…怖い思いをさせたな。小平太に代わり…」
『いえ、怖いというか…びっくりしちゃったんです。小平太さんの顔つきが、姉さん達を強引に抱いていた男達に似ていて…なのに、なんででしょうか…嫌ではなかったんです…小さい時はあの顔、凄く怖かったのに…』
「・・・。」
そう言う彼女は、口元を押さえ涙が乾き変わりに頬が先ほどより赤らんでいる様子だった。中在家はそれを見て核心をしていた。
「…モソ」
『はい…?』
「モソ…モソモソ…。」
『えっ…それって…』
「…大丈夫だ、何かあったら、私が止める。…でもまずは、集合場所に戻ろう」
と、中在家は彼女に何かを話したと思ったら彼女をひょいと抱き上げてピョンと飛び跳ねて城の敷地から出た。