第3章 ミニバラ *七松小平太*
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『はっ…くシュン!』
「ナッハハ!すっかり身体が冷えてしまったな!!」
『うぅ…。』
滝に打たれ始めてからかなりの時間がたってしまい、彼女は水の冷たさに負けてリタイアしてしまった。七松は彼女よりも先に打たれ始めたのにまだピンピンしていた。
「さぁ、今日の鍛錬の勝負も私の勝ちだな!」
『あ…』
「今日の命令は身体が温まるまでお前の話を聞かせてくれ!」
『えっ…⁉』
「昨日、私はお前が好きだと言っただろ?だから、和歌菜の事をもっと知りたい!いろいろ話してくれないか?」
『えっと…それくらいなら』
と、彼女は七松の質問に答えられる範囲で答えていく
七松は、彼女に質問をしながら少しずつだが彼女のそばに寄っていった。
『えっと…小平太さん?近くないですか?』
「だって、この方がお前の声がよく聞こえるからな!それにこっちの方があったまるぞ!!」
と、彼女の近くに寄ってニカッと笑う。
彼女は思わずその笑顔につられて笑ってしまう。
『仕方ないですね…』なんて笑いながら七松の質問に答えていく。
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「じゃ、しっかり身体を温めるんだぞ!」
と、帰りはゆっくりと帰ってきた七松は4年の長屋まで彼女を送り自身も部屋へと戻っていった。
彼女は、そんな七松の背中を見て本当に変わった人だな…という印象を持った同時に気持ちに何か不思議な感覚が芽生えていることに、少しだけ戸惑っていた。