第3章 ミニバラ *七松小平太*
***
「和歌菜ーー!!」
『あ、小平太さ…』
「和歌菜!今日も鍛錬行くぞ!!」
『えっ…いや、でも…』
「今日のお願いは決めてあるんだ!よし、行くぞーー!!」
『なっ!?ちょ…勝手に…』
「細かいことは気にするな!行くぞー!!」
と、書類諸々を持っていた彼女の腕を強引に引きまた裏裏山に連れ去っていった。
彼女は振り回されながらもなんとかついてきたが、息が切れまくっていた。
「よし!鍛錬するぞ!」
『ちょ…ちょっと、待ってください…ぜぇ、ぜぇ…』
「ん?そうか、じゃあこのまま私に付き合え!」
『ぅえ!?ちょっと…少し休ませ…』
「あぁ!休みに行くぞ!!」
と、言いつつまた強引に彼女の腕を引いてダッシュをした。
また激しく振り回されながら彼女は七松に森の奥へと連れて行かれた。
「さぁ!着いたぞ!」
と、ようやく立ち止まった七松に彼女はもうヘロヘロになりながらも七松に連れてこられた場所を見た。
『わぁ…すごい…』
「いいだろう、この滝!」
と、連れてこられたのは大きな滝が流れ落ちている場所だった。ゴーゴーと流れ落ちる音と共に白い水しぶきが立ち込めていてとても気持ちのいい場所だった。
『綺麗…それに、いいきもち…』
「和歌菜、私は先に滝に打たれている。体力が戻ったらお前も来い!」
『あ、はい!』
と言って、七松はいつの間にか滝に打たれる用の白装束に着替えて水の中に入っていった。彼女は、休憩がてら足を冷やそうと草鞋に足袋、脚絆を外して足をつけながら、七松が1人で「いけいけどんどん!!」と言いながら滝の中で目を閉じて瞑想をしている様子をじっと見ている。
「…なんだ?そんなにみられては私に穴が空きそうだな!!」
ナハハ!!!と笑っている七松に、彼女はさっきまであった不信感がなくなるのを感じた。彼女は『よし!』と一瞬で白装束に着替えて七松と共に滝に打たれ始める。