第3章 ミニバラ *七松小平太*
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「あぁーーー!!!!」
「…。」
「長次!!何があったか聞いて!!」
七松はダッシュで裏裏山から戻り同室である中在家の元へ戻ってきた。そして、顔を真っ赤にして中在家の背中にしがみついた。しかし中在家はロクなことがないと分かっていたため何も聞かなかった。だが、それではずっとうるさいままだと思い・・・
「…鍛錬はどうだった?」
「うぅぅぅ…実はな!?」
と、かくかくしかじかと起こった事を中在家に事細かに説明した。中在家は激しく驚いていた、まさかあのいけいけどんどんな七松がこんな遠回しなことをするなんて・・・と
「…どうして、そんな条件を?」
「だって、この前の和歌菜の話を聞いていけどんじゃダメだと思って…でも、これしかあいつに近づく方法が思いつかなくて…」
「…いや、むしろ良いと思う。」
「えっ…?」
「和歌菜は、すぐには人を信用しない節がある。少しずつ距離を詰める命令をすれば、自ずと距離が近づくだろう」
と、中在家の後押しもあり七松は一気に顔つきが明るくなった。そしていつものテンションの高い状態に戻った。
「よっしゃー!!もっと距離を詰めるぞ!!…なぁ、長次…次はどんな命令がいいと思う?」
「…例えば?」
「例えば…私と寝よ…ガッ!??!」
と、七松の発言を阻止するかのように中在家が渾身の力で七松をぶん殴った。さすがに殴られた理由を理解している七松はそれ以上は何も言わずに、まじめに中在家に向き合う。
「それで、私はどんな質問をしていけばいいんだ?」
「…例えば」
と、中在家は猪突猛進も甚だしい七松のためにしっかり順を終えるような質問を提案していく。七松は珍しく真面目に聞いていた。
***
『うーん…』
「どうしたの?何か困ったことでもあったの?」
『うん…なんか、小平太さんが分からなくなって…』
「ん~?七松先輩が分からないのは、いつもの事だと思うよ」
と、いつものようにタカ丸に髪を梳かしてもらいながら頭を抱えていた。