第2章 ブッドレア *浜守一郎*
『おーい喜八郎~。来たよ~』
「おやぁ、遅かったね…アレ、守一郎もいるの?」
「やぁ」
と、庭にできた落とし穴の中から喜八郎が顔を出す。
俺は普通に挨拶をしたが、喜八郎は少しムッとしていた。
『で、何の用?』
「別に。僕が掘った落とし穴を見てもらってあわよくば落ちてもらおうかと…」
『今サラッと何言った?』
「ブッ!!ギャーはははは!!!」
『守一郎うるさい!』
と、喜八郎が穴から出てくる横で俺が大笑いしていると彼女が止めに入る。それがいつもの光景だったが・・・
「和歌菜、お腹すいた。おやつ食べに行こう」
『はいよ、守一郎も一緒に…』
「・・・。」
俺を誘おうと彼女がこっちを見たが、それと同時に喜八郎がキッと俺を睨んだように見えた。それでも俺は・・・
「悪い、俺久々知兵助先輩に火薬の本を借りる約束をしていたのを思い出したんだ。今から行かないと」
『そう、じゃあまたね』
と彼女は俺に手を振って喜八郎と行ってしまった。
その2人を見ていると、時々喜八郎が彼女の髪を触ったり、彼女が喜八郎に触ったりしているのが見えた。
ズキ・・・
また心臓が痛くなった。
なんだろう、この気持ち