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陰陽の結び 《忍たま乱太郎》

第9章 オミナエシ *竹谷八左ヱ門*



『うっ、うぅ…』

「どうですか?可愛いでしょう?」

『これ…大丈夫なのか?なんかの拍子に殺しちゃったりしないか?』

「大丈夫ですよ、優しく人差し指で撫でてあげてください。」


彼女の手の上にヒヨコを乗せた三治郎が、彼女の手を支えながら触るように催促する。彼女は顔を引きつらせながらもヒヨコを指でそっと撫でた。手の中で鳴いているヒヨコは彼女に撫でられると気持ちよさそうに目を閉じた。


『はぁ…可愛い』

「そうでしょ?」

「よかったですね、ヒヨコに触れて」

『うん、初めて触ったよ。』


すっかり触ることに慣れてしまったようで三治郎が支えなくてもヒヨコを手の中で触りながら話せるようになっていた。1年生達がニコニコして彼女をみていると、今度は孫次郎がウサギを連れてきた。


「今度は、ウサギです…。」

『う…うさぎ…。鳥獣戯画でしか見たことなかったけど…こんなにふわふわなのか…』


と、初めて見たと言わんばかりの反応に俺はようやく合点がいった。ヒヨコを一平に手渡して孫次郎の抱えるうさぎにそっと触る彼女を見て、俺はそばで見ている虎若に話しかけた。


「なぁ…もしかして由利って、動物触ったことないのか?」

「えっ?いや、触ったことないどころか見たことすらなかったようなんですよ。生まれたおうちが動物などの類を嫌っていたようで、忍術学園に来て初めて生の動物を見てびっくりしたそうですよ。」


それで、初めて生物小屋に来た時に驚いていたようだった。
俺は勘違いとはいえ、一方的に彼女を悪者の扱いをしていたようだった。

孫次郎と共にウサギを撫でて、さらに三治郎や一平が連れてくる動物たちを興味津々な顔をして愛でている彼女に少しだけ好感を持ち始めていた。

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