第9章 オミナエシ *竹谷八左ヱ門*
初めて会った時から数日後・・・
俺は極力彼女とは関わらないように努めた。
学園長先生に対して暗殺を行った時だけ他の5年生と一緒に妨害を行う程度だった。
でも、なんでかは分からないが1年生達をはじめとした下級生達はなぜか彼女と徐々に親しくなっているように感じた。
それどころか・・・
「はぁ!?兵助が…」
その日の放課後に5年い組の尾浜勘右衛門が教室にいた俺にこっそりと話してきた。
最初に彼女と手合わせした時から、あいつの反応がおかしかったのは分かっていたけど、まさか兵助が彼女に好意を持っているとは思わなかった。
「なんで暗殺者なんて…」
「さぁ、所詮は女なんだから仕方ないんじゃないか?」
アハハと笑っている勘右衛門だったが、いつもの雰囲気で笑っているわけではなかった。勘右衛門も彼女の事を探りながら警戒しているようだが、兵助が彼女に好意を持っている事は気に入らないようだ。
「そういえば八左ヱ門、お前委員会はいいのか?」
「あっ!しまった!!じゃあな、勘右衛門!!」
委員会があったことをすっかり忘れていた俺は、慌てて教室を出て生物小屋に向かった。
***
「孫平ー!!」
「あ、竹谷先輩。遅いですよ」
「悪い悪い!!あれ?1年達は?」
「あぁ、由利先輩を迎えに行くって言ってましたよ」
「はぁ?!」
なんでも、1年は組の虎若と三治郎が乱太郎達の縁で彼女と親しくなったことを受けて彼女に生物委員会を手伝って貰おうとしているようだった。