第2章 ブッドレア *浜守一郎*
「こ…好意!?」
早速部屋に戻ってまた火器の本を読んでいた三木ヱ門に好意とはどういうものか聞いてみた。
「あぁ、3年の作兵衛に言われたんだ。女の人が近くにいて好意を持ったりしないのかって言われたんだ。でも俺好意って言うのが分からないんだ。三木ヱ門、教えてくれないか?」
三木ヱ門に聞いてみると、三木ヱ門は顔を真っ赤にしてしまった。その意味すら分からなかった俺は首を傾げた。
三木ヱ門はため息をついて、本を閉じて俺の方を見た。
「あのな、守一郎。好意というのは相手を好きだと思うことだ。」
「…?俺は和歌菜の事は好きだぞ。」
「そうではなく、異性に魅力を感じて好きになるということだ。」
「うーん…分からん。」
全然好きという気持ちが分からなかった。
和歌菜の事は好きだけど、それは三木ヱ門や滝夜叉丸、喜八郎にタカ丸さんもみんな好きだから・・・
「三木ヱ門はどうなんだ?」
「ふぇっ!?」
「和歌菜に魅力を感じているのか?」
三木ヱ門にも聞いてみたが、また真っ赤になってしまった。
私はユリコやさちこ一筋だし…なんてごにょごにょ言っていたが、すぐに我に返ったように
「とにかく、他の人とは違う感情がある時の事を言うんだ。」
「そうなのか…。」
と、三木ヱ門からもあまりいい答えをもらえなかった。
俺は部屋を出て、また1人考えながら庭を歩いていると庭の木の下に和歌菜を見つけた。
和歌菜は、小さな白い花を持って黄昏ているような雰囲気だった。
俺は思わず声をかけようと思ったが、その姿がなんとも綺麗で・・・
『あれ?守一郎。』
と、向こうが気づいたみたいで俺に近づいてきた。