第8章 ツキミソウ *中在家長次*
『うっ、うぁ…!!』
中在家がいても関係ないと言わんばかりに、七松がまた獲物を食らい始めた。彼女ほどの力があればこんな風になることもないだろうと思いながらも、中在家は彼らに近づいて七松の肩を引く。
「よせ小平太!!!」
中在家が珍しく大きな声を発したため七松はようやく冷静さを取り戻したようで、自分の下で淫らな姿の彼女を見て息を吞んだ。
「あ…和歌菜…?わ、私は…なんてことを…」
『うっ、ふぇ…ぅ…』
「す…すまない、私…すまない!!」
と、七松は土と体液で汚れてしまった彼女を抱きしめた。
中在家は彼女が抵抗すると思って手を差し出そうとしたが、彼女は泣きながら七松の身体にしがみついた。
「…小平太、何があった」
「…私が、…私が悪いのだ」
彼女をギュッと抱ていた七松は、彼女をゆっくりと解放する。
いつの間にか気を失ってしまった彼女を支えながら自分の着ていた制服を彼女にかけてそのまま抱きあげた。
「・・・。」
「長次、様子を見に来てくれてありがとう。あのままだったら私は和歌菜にもっとひどい事をしていただろう…。」
「…まずは和歌菜を」
「あぁ…」
腕に抱えている彼女を見ながら、七松はいつものように走るのではなくゆっくりを裏裏山を下山していった。
戻ってきたら、それはそれは大変だった。
まず出門票を出さずに裏裏山に行ってしまった中在家は事務員の小松田から説教を受け、保健室に彼女を連れて行くと丁度そこには2年の川西左近と3年の三反田数馬しかおらず彼女の痴態を見てしまい顔を真っ赤にしてしまい、騒ぎを聞きつけた善法寺に2人はまとめて叱られた。