第8章 ツキミソウ *中在家長次*
・・・だが、気にしないようにとは言え中在家は彼女と七松の事が気になって仕方がなかった。しまいには、同じ図書委員会の不破に・・・
「中在家先輩、どうかしましたか?」
「…モソ」
「何か思いつめているようでしたが…。」
「…すまん、雷蔵。あとを頼む」
「えっ…せ、先輩!?」
中在家は、書物をすべて不破に預けて七松達がいるであろう裏裏山に向かった。どうにも中在家には嫌な予感がしてならなかったのだ。
***
2人の気配を、探りながら森の中に茂る木の上を飛び跳ねながら探した。いつも七松が鍛錬をしている林のそばを通りがかった時にかすかに声が聞こえた。
『……ッ!!やだっ……!!!』
それは、どうにも彼女の悲痛の声のように聞こえた。
中在家は声の方へと急いだ。
ようやく林を抜けた先に、2人の姿を見つけた。
その様子は、宛ら体術の訓練で七松が彼女を組み敷いているようにも見えたが・・・
「…小平太、何をしている…」
中在家が声をかけた瞬間、七松の身体が反応した。
ゆっくりと振り返った七松が、背後にいる中在家を見るが中在家は思わずその目に驚いた。
それは紛れもなく獣の目、獲物を食らっている最中を邪魔されていきり立っている獣と相違なかった。そして、その獣の獲物に目をやるが・・・
「和歌菜…!!」
組み敷かれている彼女を見ると、彼女の制服が引き裂かれて下肢が露になっていた。自身の顔を覆いながら肩を揺らしている彼女からは小さく嗚咽が聞こえてきたため、中在家はすべてを察した。
「小平太…お前…!!」
「ハァ…邪魔を…するな!」
2人に何があったのかは分からないが、七松がここまで理性をなくしてしまったことに驚きを隠せなかった。