第8章 ツキミソウ *中在家長次*
「貴様!!私が和歌菜を好きだと知っててやったのか!?わざとなのか!?」
2人の部屋に戻った途端に、七松は中在家に思い切り噛みつく勢いで中在家の身体を思い切り揺するながら叫んだ。
「…今回はたまたま和歌菜が出かけたいと言っていてついてきてもらっただけだ。私から誘ったわけではない。」
「それでも!!あんな可愛い着物におろしたての簪を飾った彼女とでーとなんて…羨ましいぞ!!!」
中在家は身体を揺すられながらも、その観察眼に感服していた。が・・・
「小平太…いい加減にしろ…エヘヘ!!」
「あ…すまん、つい…だが…。」
突然大人しくなり、中在家から離れた七松だったがすぐにまた大きなため息をついた。その理由を知っている中在家は静かに床に腰かけて七松を見る。
「なぁ…長次、和歌菜と両想いになるにはどうしたらいいかな…。」
七松が彼女に片思いをしていることを知っている中在家は、顔を赤くしてもじもじしている七松に小さくハァ…とため息をついた。
「和歌菜の好みは、強い男だろ?それだったら私も和歌菜の好みにはあっていると思うのだが…」
「…モソ」
「えっ…もっと落ち着いて行動しろ?」
「モソ…モソモソ…。」
「いけいけどんどんじゃダメ…。そうは言ってもな…」
「…モソモソ」
「えっ、毎日話しかけるだけでも違う…そうか!!分かった!!よし!!毎日話しかけよう!!!」
と、いきなり立ち上がって夕食に行くぞ!!!と七松は急に元気になり部屋を出て行った。
残された中在家は、また小さく「モソ…」とつぶやいて自身も制服に着替えて夕食を食べに行った。