第8章 ツキミソウ *中在家長次*
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『すっごい本の数ですね。』
「…モソ、たくさん買えた。」
『図書委員会も大変ですね。それより、抹茶パフェ奢っていただいてありがとうございます。』
「いや、書店で和歌菜が店主に値引き交渉をしてくれたおかげで、本が安く買えた。その礼だ。」
『ありがとうございます~。…はあぁ~ここの抹茶パフェ美味しい~』
と、嬉しそうにパフェを食べている彼女を見ながら中在家は周りを注視し始めた。
中在家は道行く男達が、彼女を見てニヤニヤしたりしていることが気になっているようだった。そしてついにその中の1人が近づいてくる気配がした。
「えへへ…」
中在家が近づいてくる男を見てにやりと笑いいつもの笑い方で男を睨んだ。男は彼女の横に不気味な男がいることに驚いたようでそそくさと逃げていった。
『長次さん…』
「…モソ」
『あまり気負わないでくださいよ。あたしだって男除けくらいできますから。』
「…モソモソ」
『心配してくださるのはありがたいですが。』
と、フフ…と笑いながらパフェを食べ続ける彼女と中在家は突然何かの気配を感じ取った。中在家はスクッと立ち上がり彼女の前に立ち、彼女もパフェの容器を置き着物の帯の中に隠していた鉄扇に手をかけた。
気配の正体に気が付いた方を見ると、視線の方向からドドドドドドドドド!!!という大きな音と砂煙と・・・声が
「ちょーーーーじーーーーーー!!!!!」