第8章 ツキミソウ *中在家長次*
『小松田さん、長次さん。こんにちは』
「こんにちは和歌菜さん。今日も綺麗な格好ですね」
『ありがとうございます!長次さん、お出かけですか?』
「…モソ、図書委員会の買い出しだ。」
『そうですか。その買い出しご一緒してもよろしいですか?あたしは特に用はないのですがちょっと出かけたくなりまして。』
と、中在家に言うと中在家はものすごい不機嫌な顔になりそれを見ていた小松田さんをビビらせていた。が、彼女の方はケロッとしていて・・・
「分かった、一緒に行こう」
『ありがとうございます!!』
と、彼女と中在家は小松田さんに外出許可証を手渡して学園を出た。
***
「長次さん、今日は他の6年生の方たちはどうなさったんですか?」
「…文次郎と仙蔵、小平太は実習。伊作と留三郎は1年の乱太郎と共に薬草取りだ。」
『そうですか、さすがですね。…あと、伊作さんと留三郎さんは無事にお帰りになるといいですね。』
「…モソ」
2人は揃って、町まで歩いていく途中でふと中在家が彼女をチラチラとみていることに気が付いた。
『…長次さんどうしたんですか?』
「和歌菜、その簪、初めて見る」
『あ!気が付きましたか?これ昨日1年生の子達にもらったものなんです。これをタカ丸さんに見せたらこの簪に合う髪型を作ってくれたのでせっかくなら出かけたいと思いまして。』
「そうか、簪も着物もあっていてよく似合う。とても綺麗だ」
『ありがとうございます!』
と、笑いながら町まで歩いていく。