第7章 コチョウラン *全校生徒+α*
「おっと、君達は私の愛娘の誕生日をめちゃくちゃにする気なのかい?」
「何が愛娘だ!!俺は認めんぞ!!!」
「いや、食満君に認められても…。私はぶっちゃけ和歌菜には不運で忍者に向かない子を是非って思ってるんだけど…」
「なっ!?」
「へっ…?」
と、雑渡が食満に言った言葉で心当たりがある生徒達は全員一様に1人の6年生を見た。が、彼女は至って冷静だった・・・
『気にしないでください、その話はあたしが暗殺者として忍術学園に潜入する前から言ってることですので。なんの根拠もありませんよ』
「和歌菜、私はわりと本気で期待しているからな。じゃあ、そろそろ行くよ。」
そう言った瞬間・・・
一瞬にして雑渡の気配が会議室から消えた。
6年の3人はまた勝負ができなかったことでかなりイライラしていた。
「だぁーーー!!!あの曲者!!」
「いつか絶対倒してやるーーー!!!」
「どんどーーん!!ん?なんか、いい匂い…」
と、七松が鼻をヒクヒクさせて匂いを嗅いだ。
その匂いは会議室中に広がりさっきまでの殺伐とした空気を一変させた。
「クンクン…あ!!長次!!!」
匂いの正体は、みんなの記憶からはすっかり忘れ去られていた中在家が黙々と作り続けていたケーキの匂いだった。真っ白な生クリームで飾られ真っ赤ないちごにメッセージ付きのチョコレートが乗った典型的な誕生日ケーキだった。
「おぉ、長次。作ってきてくれたのか」
「…モソ」
「和歌菜!!」
と、すっかりみんなに囲まれていた彼女を呼んで作ったケーキを見せた。彼女は持ってきてもらったケーキをじっと見つめ・・・目をキラキラさせた。