第7章 コチョウラン *全校生徒+α*
勢いよく食堂に入った6年生達が見たのは、それぞれ割烹着を着て食材や調理器具を運んでいる4年生の平滝夜叉丸・田村三木ヱ門・綾部喜八郎・浜守一郎の4人だった。
「実は、私達実習は昨日の夜までだったんですが、今日は和歌菜の誕生日なのであいつのために料理を振舞おうと思いまして…」
「発案者のタカ丸さんは、わざと実習が遅れるようにして彼女を学園の外に出してくださってるんです。」
「そうか…。それにしては、食材の量が多くないか?」
「いや~、和歌菜の奴あぁ見えてかなり大食漢なんですよ。うどんなら40~50人前は食べますし…」
「僕らじゃ絶対に和歌菜が満足する量はすぐには作れないからって言って、今から準備をしようとしていたんです。」
と、一体何百十人前の料理を作ろうとしているのか疑問に思うほどの食材が積み上げられていた。6年や下級生が呆れるほどだったが、それでも6年生達は4年生を見てニッと笑った。
「おし、俺達も協力するぞ」
「えっ…潮江先輩!?いえ、これは4年生の私達が…」
「俺達以外にも全校生徒みんなが彼女の誕生日を祝いたがってるんだ。」
「それに、彼女の満足する料理を作るのだろう?大人数の方が早く作れるし能率もいいのではないか?」
と、潮江・食満・立花がそれぞれの4年生達に歩み寄って笑いかけて結果、4年生も加わりみんなで料理を作ることになった。
「あの、それで一つお聞きしたいことが…」
と、4年生同士が顔を見合わせて揃って中在家のもとへと向かった。
「…モソ?」
「あの、中在家先輩。ケーキの作り方を教えてください!!」
4年生を代表して、守一郎が中在家に頭を下げた。