第7章 コチョウラン *全校生徒+α*
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その日の明け方まだ日も上がっていない頃・・・
眠い目をこする1年の手を引く2年生と3年生がゆっくりと夜の廊下を進んでいく。
「おっ!来たな!!」
下級生の長屋まで5年生と6年生が迎えに来ていた。
6年の七松がおーい!と手を振るが夜中ということもあり中在家がすぐに七松を大人しくさせた。
「それじゃ、5年と2年と1年生の半分は会議室の飾りつけを。6年と3年と1年の残りは食堂で祝い料理を作るぞ。」
「はーーーい!!」
と、珍しいことに4年生以外の全校生徒が彼女のためと一致団結して1つの事に取り組みだしたのだ。
料理チームになった乱太郎やキリ丸、金吾達は和歌菜は何が好きなのだろう、僕らが作った料理を喜んでくれるかな…とワクワクしている様子だった。
「・・・ッ!?」
すると・・・先を歩いていた6年生達が急に足を止めた。
迷子にならないように6年の後ろをぴったりと歩いていた神崎左門が自分の委員会の先輩である潮江に「どうしたんですか?」と尋ねた。
しかし、潮江を含めた6年生達の空気は張り詰めたまま
その視線をすぐそこにある食堂に向けていた。
「…小平太、長次…」
潮江が2人に指示を出すと後輩達には見えないスピードで食堂の入り口の方までたどりつきその手には各々の得意武器を携えていた。残った6年の立花と食満、善法寺はその反対側から中を覗いた。
潮江が代表しているのか、彼が手をゆっくり上げて音もなく前の方に手首を捻ると、それが合図だったようで6年生達は一斉に食堂に入った。
すると・・・
「あ…れ?お前達…」
「ん?あっ!?潮江先輩!?なぜこんなところに…」
「それはこっちのセリフだ…。お前達、実習中じゃなかったのか?」