第7章 コチョウラン *全校生徒+α*
「なっ…こんなにあるのかよ…」
「分っかんねぇ…」
「うわぁ、アレも綺麗だし、こっちも和歌菜に合いそうだし…」
愕然としている尾浜と蜂屋に対し、迷い癖のある不破はアレを見てコレを見て・・・と目を回していた。
アワアワとしている不破を見て、2人はなんとか彼女に合いそうな飾りを探していく。
「うーん…なぁ、こっちの飾り紐はどうだろう…」
「いや、彼女のお気に入りの着物には、こっちの方がいいんじゃないか?」
「うーん…」
と、いくつか候補を見つけていくがそれでも何も決められなかった。すると、彼らの後に入ってきた女性達が彼らの姿を見て声をかけてきた。
「こんにちは、何を探しているの?」
「えっ…あ、知り合いの誕生日の祝いに…」
「そう、きっと素敵な子なのね。選んでいる飾り紐がどれも素敵ですもの。」
「はい…。でも、どれを選んだらいいか分からなくて…」
「…その子は、どんな子なの?」
と、女性が尾浜の顔を覗き込み彼女の事を聞いてきた。
尾浜はその女性に彼女の事を話した。好きなものや好みまで・・・すると女性達はクスっと笑った。
「…じゃあ、これなんてどうかしら?」
と、1人の女性が尾浜に飾り紐を1つ差し出した。
尾浜も最初は目が付かなかったが、女性の差し出した飾り紐に心を奪われた。
「おぉ、これなら…」
「いいんじゃないか?」
「…すみません、ありがとうございます。」
と、尾浜と不破はそれをもって店の店主の元へと向かった。
ただ蜂屋だけはその女性に何かの合図を送っていた。
「じゃあ、戻ろうぜ!」
「おう!!」
5年生の3人が着物屋から出て行くのを見ると、女性2人がニコッと笑った。そして店主に一言・・・
「すみません、さっきの殿方達が買った飾り紐に合う着物を見せていただけませんか?」