第2章 ブッドレア *浜守一郎*
その後、立花先輩と食満先輩が喜八郎に彼女の素性を語り始めた。彼女がこの学園にいる理由と経緯、そしてそれを知っているのが教員と6年生・5年生だけであること・・・これまで何度も暗殺を行っているが失敗していることとすべてを説明していた。
俺は、ひどく混乱していた。
友人としても、同じ編入生同士ということもあり一緒に訓練したり食事をしたり切磋琢磨し合い・・・
それが、学園長の命を狙う暗殺者・・・しかも女
という現実に、戸惑いを隠せなかった
俺は、思わず彼の後を追いかけていた。
小屋の近くにいるのは分かっていたため辺りを見渡したらすぐに見つけた。
木の上にいる彼女になんて声をかけていいのかが分からなくて途方に暮れていた時・・・俺の心は、留まった。
なぜなら、木の上にいる彼女は月明かりに照らされていてその頬が涙で濡れているのが見えたからだった。
その姿に俺は何も声をかけることができなかったと同時に、きれいだと思ってしまった。それが女性特有のものかも分からなかったが俺は何も言わずに見張りの場へ戻ったんだ。