第1章 デビュー!!
家に着くと同時に、携帯が鳴った。
ずっと待ちわびていた人からだということは、着信音ですぐにわかった。
Ruuna『もしもし?宏光?』
宏光『Ruuna?今日は仕事?』
Ruuna『ううん。今日はオフだよ。出かけてて、今家に帰って来たところだよ。』
宏光『そうなんだ。Ruuna………今日、発売日だな』
Ruuna『うん。実は、ちゃんと並んでいるか気になって、見に行ってきたの(笑)』
私は、ついさっきCDショップであった出来事を話した。
宏光『お前ら、そんな所まで仲良しかよ(笑)』
Ruuna『示し合わせたわけじゃないのにね(笑)』
宏光『Ruuna、いい仲間と音楽できてよかったね』
Ruuna『うん、そうだね。みんながいなかったら、今の私はないかもね』
宏光『みんながいるから、こんないい曲が出来るんだぞ。メンバーは大事にしないとな』
Ruuna『そうだね………うん?もしかして、曲聞いてくれたの?』
宏光『もちろん!ちゃんとCD買ったし(笑)』
Ruuna『えー!私、宏光にプレゼントしようと思って買ってきたのにー』
宏光『ははは………俺は2枚でも3枚でも欲しいから、それも貰うよ(笑)』
Ruuna『くすっ、じゃあ次に逢った時に渡すね』
宏光『わかった』
久し振りに宏光の元気そうな声を聞いた。
相変わらず忙しそうな宏光。
画面に写る宏光は、疲れなど見せない顔をしているけど、久し振りに聞く宏光の声は、やっぱり疲れているようで………
本人は隠してるつもりなのだろうけど、ずっと見てきた私は、少しの変化でも気づいてしまう。
こんな時に“無理しないでね”なんて、在り来りな言葉しか言えない私。
いつか宏光が倒れてしまうのではないかという不安。
そして側にいて、癒やしてあげることの出来ないもどかしさ。
どうしたらいいのかわからなくて、私はずっとモヤモヤした気持ちでいた。