第2章 ストーカー
毎日忙しく過ごしていた、そんなある日。
今日は歌番組の収録の為、TV局に来ていた。
私は楽屋に入る為にドアノブに手をかけた。
その時、中からメンバーと私達の担当をしているヘアメイクのみくちゃんの会話が聞こえてきた。
みくちゃん「そういえば、皆さんってキスマイさん達と仲いいですよね?」
ITSUKI「うん。特に宏光さんには、俺らが地元にいる時から可愛がってもらってるよ」
YU-KI「キスマイさん達がどうかした?」
宏光の名前が出たからなのかどうかわからないけど、何となく入りづらくて、私は扉の前で中の会話を聞いていた。
みくちゃん「はい。私、キスマイさん担当のヘアメイクの子と仲がいいんですけど、この間一緒にご飯食べた時に聞いたんです」
KO-TA「聞いたって?」
みくちゃん「最近、キスマイ担当のスタッフに新しい人が入ったんですって。それが女性の人らしいんてすけど、この人が、北山さんに付きまとっているみたいなんです」
YU-KI「どういうこと?」
みくちゃん「その人『るり』さんっていうらしいんですけど、常に北山さんの側にいて、他のメンバーには適当な態度なんですって。その上、殆ど仕事もしないらしいんです」
KO-TA「なんだそれ!!」
みくちゃん「北山さんや他のメンバーさんが何回も注意してもべったりで、かなり迷惑してるみたいなんです。何でも、前にあるタレントさんに同じ様に付きまとって、ストーカーで訴えられる寸前だったらしいです」
ITSUKI「かなりヤバい奴なんだ………」
みくちゃん「顔はかなりのび美人で、落とせない男はいないって豪語してるみたいです」
ITSUKI「そんなに美人だったら、男は落ちるかもだけど……宏光さんなら大丈夫じゃない?」
TAKUTO「大丈夫だろうけど、今の話Ruunaの耳には入れない方がいいな」
YU-KI「うん、その方がいいかも……」
私はそっと扉からはなれた。
確かに宏光はモテるから、今までだって沢山の女性が言い寄ってきただろう。
でも今は私とつきあってる。
“そんなに美人だったら、男は落ちるかも………”
ふとITSUKIの言葉が頭に浮かんだ。
私はぶんぶんと頭を振った。
宏光に限って………ないよね。
私………宏光を信じていいんだよね。