第1章 デビュー!!
それから更に数日がたち、今日は例の雑誌の撮影日。
私を迎えに来た吉岡さん。
相変わらず誰が相手役なのか教えてくれなかった。
着いたらわかるよ………って、笑顔で答えるだけ。
私はモヤモヤした気分で、撮影スタジオに向かった。
吉岡「おはようございます。Black JewelのRuunaです。今日はよろしくお願いします」
現場のスタッフさんに挨拶する吉岡さん。
吉岡さんの隣で、私も一緒に挨拶をした。
スタッフ「早速ですが、あちらの部屋でスタイリストとメイクが待っていますので、一緒に来てもらってもいいですか?」
Ruuna「はい」
部屋に行くと、2人の女性が待っていた。
スタッフ「じゃ、お願いします」
スタイリスト「はーい」
メイク「わかりました」
準備を整えスタジオに向かうと、リビングダイニングの様なセットがあった。
スタッフ「ではRuunaさんはこちらに立ってください。今から何枚か写真を撮っていきます。普段家で料理をしたりしてるみたいにしててもらってOKなので………」
一通り撮影の流れを聞き、撮影が始まるのを待った。
スタッフ「北山さん入りまーす」
スタッフの声に驚き、スタジオの入り口を見る。
そこに居たのは………宏光だった。
Ruuna「えっ、えっ、どういうこと?」
宏光は私に気づくと、ニコっと笑って近づいてきた。
宏光「驚いた?」
私の側まで来ると、小声で宏光が言った。
Ruuna「うん、驚いた」
私もつられて小声で答えた。
宏光「今日の撮影のテーマが、彼女との日常のひとコマって事らしくて、彼女役の女の子を探してるって聞いてから、吉岡さんに頼んでRuunaを相手役にしてもらった(笑)」
やっと吉岡さんの笑顔の意味がわかった。
宏光と吉岡さんにしてやられた気分で……でも、2人の私への気持ちが嬉しくて……泣きそうになったら。
宏光「おいおい、これから撮影なんだかね。泣くのは後で(笑)」
宏光は私の頭をポンポンと叩くと、ニコっと笑った。