第1章 デビュー!!
ー宏光視点ー
Ruunaの声がして、俺は目を覚した。
隣を見ると、Ruunaがいない。
覚醒していない頭で辺りをキョロキョロ見ながら考えていると、入り口の方からRuunaの声がした。
誰かと話をしているようだ。
聞き耳を立てると、どうやらマネージャーと話しているみたいだった。
マネージャー「実は監督さんや関係者達と相談したんですけど、明日の初日の分を延期にしようかと思うんです。みつの体調次第では、2日目も………」
みんなが心配してくれてるのは、よくわかる。
だから、俺の身体の事を考えて出した答えなんだろう。
けど、俺は………
マネージャー「Ruunaさん、どうかみつを説得してくれないでしょうか?」
Ruuna「説得ですか?」
マネージャー「はい。きっとみつは、Ruunaさんの言う事は聞いてくれると思うんです」
確かにRuunaに言われたら、流石の俺も………
Ruunaは、どう答えるのだろう?
やっぱりRuunaも延期に賛成なのだろうか………
Ruuna「すみません。私には宏光を説得する事はできません」
マネージャー「えっ?」
Ruuna「みなさんが宏光のことを考えて決めてくれたのは、よくわかります」
マネージャー「だったら………」
Ruuna「私も宏光のことは心配です。でも私は宏光の彼女でもあり、ファンでもあるんです」
マネージャー「………」
Ruuna「ファンの子たちは、今回の舞台をすっごく楽しみにしてると思うんです。舞台の観るために遠方から来てくれる子達もいますし、わざわざ仕事の休みを取って来てくれる子だっています。
そんなファンの子たちを悲しませたり、心配かけることを宏光はしたくないと思うんです」
マネージャー「それはわかります。しかし………」
Ruuna「もし、その日しか舞台を見れる日がないのに、延期になったらどう思いますか?」
マネージャー「それは………」
Ruuna「プロになった今だから、私はファンの子たちを大事にしている宏光や、キスマイのメンバーさん達の気持ちがすっごくわかるんです。宏光の口から延期にしようと言わない限り、舞台に立たせてあげて下さい」
Ruuna………俺の事、そこまで理解してくれてたんだ。
俺は、初日の舞台に立つ事を決意した。