第2章 花姫と恋
通り掛かった部屋から声をかけられて足を止めると、部屋から赤と青の着物を着たなんだか雰囲気がそっくりな2人が出てきて私を驚いたように見つめた。
「新しく顕現した刀剣女士だ。本丸の中を案内していた」
『日和姫と申します。どうぞよろしくお願いいたします』
「日和姫ね。俺は加州清光。よろしく」
「僕は大和守安定。よろしくね」
にこ、と微笑んでくれた2振りは優しそうな中性的な雰囲気だ。
特に加州さんは色っぽい気がする…
でも2振りとも話しかけやすそう、と感じて安堵した私はつられてにこっと微笑む。
すると加州さんとと大和守さんはぱちくりと瞬きをした。
安「わー……すごく綺麗。姫様みたい」
清「…たしかに……。で、なんで国広は日和姫と手繋いでんの?」
2振りの視線が私達の手元へと釘付けである。
何か変な事なのかな…?
「顕現したばかりでまだ人の身に慣れないようだからな。それにしても、大和守は何故こいつが姫だとわかったんだ?」
「「えっ?本当にお姫様なの?」」
声をハモらせて驚く2振りの仲良しさに思わずクスクスと笑ってしまいます。
『私の元の主が、花世の姫というお姫様なのです』
「「へー!」」
「主からも姫を宜しくと言われている」
安「こんな男だらけの場所に女の子が来たら、それはもう姫様だよね」
清「…これだけ綺麗だったらそうだよなぁ。日和姫、遠慮なくなんでも頼って」
『は、はい!ありがとうございます』
軽く手を振って部屋に戻っていく加州さんと大和守さんにぺこりと頭を下げるとヴェールが少しだけ風にたなびいた。
国広さんに本丸内を案内してもらいながら、出会った刀剣男士達に少しずつ挨拶をしていうちに、私と違って殿方たちはやはり大きくて逞しいのだなぁ、と感じました。
女士は私しかいないけれど、早く馴染んで本丸のみんなの為に頑張ろう。
「次は庭と畑、厩を案内する。外に出る時は下足を履くんだ。あんたの場合は…ブーツか」
『下足…ぶーつ…?この履物のことですね。こ、これどうやって履くのでしょう……?』
「…まだまだ覚えることが沢山の様だな」