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花姫と恋【刀剣乱舞】

第2章 花姫と恋


三日月宗近 side


「…今後日和姫を顕現する本丸が更に増えれば、我が本丸の日和姫との違いに困惑することもあるでしょう…」

「それはどういうことだ?」

主の言葉の真意が読み取れずに問い返す。
山姥切国広と目配せをした後に主は本丸中の刀剣男士達を大広間に集めて語り始めた。


「日和姫について、皆に伝えていない事があるのです」


主が語り始めた内容は、本日の演練であった出来事を含め日和姫が政府から全ての刀剣男士達の夜伽役兼花嫁候補という任を担っているということだった。
驚愕の事実に皆が驚き絶句した。
我らよりも小さな体に無体を強いる任務。
何とも理解し難いことであった。


「日和姫が顕現したその日に私は夜伽役という行為を禁止致しました。姫も私の手で顕現した、皆様方と変わらぬ大切な本丸の刀剣女士なのです。この本丸で学びそして皆と切磋琢磨し成長してくれることを願っているのです。…何より、未だに残る女性軽視の念に理解ができませぬ」


主が怒っているぞ…と誰かが小声で囁く。


「ですからこの本丸では審神者である私の意向により、日和姫にそういった不敬な扱いで接することを一切禁じます。私は皆様方が節度ある素晴らしい刀剣男士である事を何よりも存じ上げております」


重い空気の中皆が短く返事をして答えた。
その直後に礼儀正しく挙手をしたのは包丁藤四郎だ。


「包丁、なんでしょう?」

「姫が全ての刀剣男士達の花嫁候補っていうのは変わらないの?」

「ほ、包丁!」


皆の度肝を抜いた質問に一番慌てているのは粟田口の長兄である一期一振だ。
その質問に主は扇子を開いて口元を隠しながら笑っている。


「ふふ、そうですね……それは日和姫のお気持ちと当事者達次第、と言った所でしょうか」

それを聞いた粟田口派の短刀たちはそれは嬉しげに満面の笑みを浮かべて長兄を見つめている。
その無垢な視線に一期一振は小さく咳払いをしながら居直った。


「ならば姫の【花嫁候補】という役目は有効、ということだな?主よ」

俺の発言に数振りの刀剣が騒がしくなったようだが、気にはならない。
主は俺の問いに頷いたが、こうも続けた。


「本日のことで日和姫は酷く心に傷をおってしまいました……今は姫の心の回復を優先として下さいね」

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