第2章 花姫と恋
三日月宗近 side
前方からやってきた一行は強烈に澱んだ霊力を纏っていた。
刀の付喪神の中でも神格が高い位置にある俺と蛍丸はいち早く気がつき、
蛍丸は主を、俺は何かに畏怖する様子の日和姫を匿ったのだが……
一行とすれ違い離れた直後に日和姫が気を失って倒れてしまった。
咄嗟に華奢な体を支え横抱きにすると、日和姫の様子が心配なのであろう主が珍しくも激しく動揺している様子。
「主、大丈夫だ。日和姫は眠っているだけだ。一先ず本丸へ帰還しよう」
流石は初期刀といったところだ。山姥切国広の声で主の様子がすぐに落ち着いた。
急いで途中退場の手続きを済ませ、本丸に帰還した。
日和姫を執務室の隣部屋へと運び込み寝かせると、主は執務室に演練編成部隊の皆を集めた。
「……あの本丸の審神者と刀剣たち、穢れを纏っていたことに気がつきましたか?」
「あぁ…とてつもなく異様な気だった」
山姥切国広は顔をしかめ、何かを考え込んでいる。
乱「日和姫さん…ショックだったんだろうな…」
堀川「別の自分に会うのを楽しみにしている様子でしたもんね…」
蛍丸「…あの本丸の日和姫、なんだか全く様子が違ったから驚いた…妖艶っていうか」
乱「全く可愛くなかった」
乱の感情を伴わない低い声音に誰もが動揺し胸が跳ねたことだろう。
乱「だって…あんなの……!僕たちの日和姫さんのほうが何万倍も素敵だよ‼︎」
「乱……皆同じ気持ちだ。あれはあの審神者の纏う穢れが影響しているのであろう。
あの日和姫から、同じ穢れた霊力を強く感じた。主もそうであろう?」
主は神妙に頷き、皆で状況の整理をした結果あれは所謂ブラック本丸に違いないとの結論に至った。主は直ちにこの報告を政府に行うそうだ。