第2章 花姫と恋
とは言ったものの、普段の清楚で愛らしい彼女とは違う息遣いや時折漏れ出る甘い声に腰が重くなるのを感じてしまいながらも、こちらが夢中になって日和姫殿の甘い舌を吸っていたように思う。
抱き寄せた小さな体の横のラインを確認するように掌でゆっくりと撫でてみる。
胸が…想像以上に柔らかい……
『ん♡はぁ…っ、んん…』
すると彼女が体を擦り付けるようにしてさらに密着させてきたではないか…これは…
日和姫殿の行動に合わせて更に激しく唇に吸い付いてしまう。混ざり合う神気の気持ちよさと、響く唾液の水音でいっぱいになる。
これ幸いにと彼女の柔らかく豊かな胸をゆっくり撫で回し始めた時だった。
日和姫殿の体が跳ねて、より一層花の香りが広がったと思ったら、徐々に霞んでいくのを感じた。
…まさか、今の行為で気をやってしまわれたのか…?
「っ…、日和姫殿…?」
少しだけ唇を離すと、混ざりあった唾液が糸を引き合って互いを繋いでいた。
目を開いた日和姫殿は、熱い呼吸を整えるようにしているものの、互いに混ざりあった神気が定着し落ち着いてきた様子で、綺麗な朝焼け色の瞳は変わらず潤んでいるものの意識が戻りつつあるようだった。
『一期…さん…?』
「日和姫殿……良かった…」
自身の状況に気がついたらしい日和姫殿は、真っ赤になりながら私の胸に顔を埋めて隠そうとなさる。
『ご、ごめんなさい…こんな……』
「お気になさらず。…私も日和姫殿に触れられて嬉しかったのです」
驚いた表情で私を見つめる彼女の唇に再度口付ける。
……私たちの神気は混ざり合い、定着したようだ。これなら問題ないのだろう。
確認して唇をそっと離せば、正気に戻ったのであろう真っ赤な顔の日和姫殿と視線が混ざり合う。
「…ご馳走様でした」
『ふぇ?!』
声にならない程慌てふためいている彼女から体を離すと、少し乱れた彼女の着衣を直して差し上げてから布団を被せる。
『ゆっくり休んでくだされ。主を呼んできますね』