第2章 花姫と恋
一期一振 side
「五虎退、私が代わることになりました。あなたは主の元へ戻りなさい」
「い、いち兄……日和姫さん、とても苦しそうです…」
「ええ……心配でしょうが、ここは私にお任せを」
五虎退は心配からか消え入りそうな声で、返事をすると部屋を後にしました。
布団に横たわった日和姫殿…
とても苦しそうに熱にうかされている様子で、何より……彼女から溢れ出る甘い香りに気をやってしまいそうになるのに耐えながら、息苦しそうな彼女の着物の袷を少し緩めてやる。
途端に覗いた豊かな胸の谷間と白い柔肌に動揺してしまう。
「…っ、…日和姫殿、聞こえますか?一期一振です」
『っ…ふ……』
私の声に反応して何とか目を開いた彼女の瞳はいつもならば綺麗な朝焼け色の瞳なのだが、大きく潤み揺れている。
『いち…ご…さ……』
いつもの可愛らしい声が、熱を帯びて艶めいた声音で自分の名を呼ぶのを聞いて、思わず彼女の小さな体を抱きしめた。
私の声が少しでも届くならと耳元に唇を寄せて囁く。
「日和姫殿…私に任せてくだされ…」
主は日和姫殿の霊力が発情期で暴走している、と仰っていた……
ならば私が彼女の中に神気を送り込めば良い、という事なのだろうか…
試してみて効果が無ければ…その時は…
「日和姫殿、いいですか?私が今から神気を送りますので…」
『んぁ…♡』
んんっ…だ、だめだ…敏感な状態の今では何を囁いても愛撫にしかならない様子。
「…失礼仕る」
柔らかな唇に口付けると、親指の腹で彼女の小さな唇を少し開き舌を滑り込ませ、歯列を軽くなぞる。
すると日和姫殿がおずおずと唇を開いたと同時に、答えるように私の背に腕を回して抱きついてきた。
舌が絡み合うと彼女の神気と混ざり合う感覚が体内にビリッと駆け巡る。
なんて…強く甘美な感覚なのだろう…
『んっ…♡ふぅ…』
「日和姫殿…お上手です。このまま集中して下され…」