第2章 花姫と恋
「日和姫さん、そ、それが〝美味しい" ってことなんですよ」
『これが…おいしい……はい、おいしいです!…人の身を得るって凄いことなのですね…驚くことばかりです…』
五虎退さんに教えていただいて、ゆっくりと小さめおにぎりとお味噌汁も完食させていただきました。
私の周りにいらっしゃる皆さんは粟田口派と言うらしく五虎退さんのご兄弟だと伺いました。皆さんとてもお優しい方ばかりです。
食事が終わり、食べ終えた食器類の乗る盆を持ち、厨に運びました。
「えっと……ご、ごちそうさま…でした!」
中で作業している方々に手渡す際にそう伝えると嬉しそうに微笑み返してくださいました。
「日和姫ちゃんだね。僕は燭台切光忠。宜しくね。全部食べきれたみたいでよかったよ。お口にあったかな?」
『は、はい!とてもおいしかったです。ありがとうございます』
「良かった~!あ、僕は堀川国広です。さっき貴女が手を繋いでいた山姥切国広の兄弟刀ですよ。よろしくお願いしますね!」
『山姥切国広さんの兄弟さん…!御二方ともよろしくお願い致します。あ、あの……たまごやき…?がすごくおいしかったです…ふわふわの…』
「「!!!」」
緊張から正しく伝えられているだろうかとモジモジしてしまったけど、ありがとう、と嬉しそうに笑って下さった御二方をみたらこちらまで嬉しくなってしまって微笑み返してしまいました。
五虎退さんとぺこりとお辞儀をして厨を後にします。
「あー…随分愛らしいお姫様だなぁ…」
「兄弟が半日中手を繋いでいた、っていうのもわかる気がしますね……」