第2章 花姫と恋
一期さんの微笑みに眩しさを覚えていると、隣で何やら賑やかに話し込んでいた山姥切国広さんと、もうひと方とも視線が合い思わず息を飲んでしまった。
「貴女が最近実装されたという、刀剣女士でしたか。俺は山姥切長義。俺こそが長義が打った本歌、山姥切………えっ?」
『っ……あ、貴方様も…山姥様を斬ってしまわれたお方なのですか…?』
な、なんということでしょう…
あまりの衝撃に再びポロポロと涙をこぼしてしまって、慌てて拭おうとしますが間に合いません…
「日和姫違うんだ!あー……本歌が斬った山姥も別のとてもとても悪い山姥だ…!!あんたに親切にした山姥とは別だ。…本歌、姫を泣かすと主に叱られるぞ」
「なっ?!」
「日和姫殿、大丈夫ですよ。ゆっくりと息をして……」
「日和姫さん、こ、これを使ってください。僕の、ハンカチです」
『あ、ありがとう…ございます…』
皆さんに背中を摩って頂いたりしているうちに漸く落ち着いてきて、借りた五虎退さんのハンカチを祈るように握りながら、2人の山姥切さん達に向き直った。
『た、大変失礼致しました……私の勘違いで不快な思いをさせてしまったかと思います…誠に申し訳ございません…』
「いや……驚かせてしまったようで…すまなかった」
『っ、とんでもございません…!誇りある素晴らしいお名前を教えて頂いている時でございましたのに、すみません…』
申し訳が無さすぎて眉を下げたまま再び謝罪をすると頬に温もりを感じ、ハッとして顔を上げました。
山姥切長義さんが困ったような笑みを浮かべつつ、親指の腹で涙を拭って下さっているのです。
「…気にしないように。別のとはいえ互いに山姥に縁ある者同士、よろしく頼むよ」
慌てて返事をすると、国広さんが真顔で
「…本歌、俺も同じ山姥に縁あるもの同士だ」
「お前は不可だ」