第5章 VS白鳥沢
歩ちゃんがそう言うと、一瞬黒尾さんがハッとした表情になった気がする
それからひとしきり話して、今日の試合内容に話が戻る
歩『本当に今日の勝利は、合宿でみなさんと出会ってあの第3体育館で特訓してくださったおかげです、ありがとうございました』
彼女が画面の左下で、深々とお辞儀する
木『俺たちもいい練習になったしな』
黒『まぁ全国で当たる時には蹴散らしてやるけどな!オレンジコートでフライング10周さしてやるよ』
木『その前に東京の代表決定戦で、お前らボコボコにしてやるよ』
「あ、そう言えばさっき歩ちゃんが言ってたんですけど、彼女東京まで試合見に来てくれるらしいですよ」
木『え?ヘーイヘーイ!歩本当か?!』
黒『そりゃもちろん俺らのマネージャーとしてだよな?』
彼女からの返答はない
「もしもし?」
画面の左下にはお辞儀をしたまま突っ伏した状態の歩ちゃん
木『歩寝てんじゃない?』
黒『まじ?電話しながら?どうせ寝るなら寝顔見せろよな』
「頭頂部しか見えませんね」
黒『…アイツ寝てんのに男3人でテレビ電話してもな…』
木『俺は別にいいぜ!それより歩が俺たちの試合見に来るってことは、勝った方にはご褒美アリってことだよな?』
「いえ、別に彼女はそんなこと一言も」
黒『アカーシ、大体お前さっき聞いたって何だよ?お前俺らより先にアイツと話してたのか?』
「はぁ…まぁ」
木『アカーシ!抜け駆けすんなよ!とりあえず電話切ったらこのグループラインに、俺たち勝った方のチームが歩からご褒美もらうことになったって送っとけばいいよな?』
「メチャクチャですね」
黒『いいぜ、乗った!』
木『っしゃー!俄然やる気出てきたぜー!』
ご褒美ってなに?
何か知らないけど俺のやる気にも火がつく
黒『そーいやさぁ、さっき歩ちゃんが言ってた、人を遺すはナンチャラ〜の話なんだけど、俺的になんかしっくりきたわ』
「そうなんですか?」
黒『俺、卒業したらバレー続けるかどうかまだ考えててさ』
木『え?!バレーやんねーのか?!』