第5章 VS白鳥沢
黒『みんな木兎みたいに単純なやつばっかじゃないの、でもさっきの言葉でプレーヤーじゃなくても、人材を育てるような道とかさ、バレーに関わる道も色々あるんだなって何か視野が広がったよ』
木『俺らに言ってねぇで歩に言ってやれよ』
黒『やだねー、アイツすぐ調子乗りそうだし』
「確かに」
グループ通話は終了され、しばらくして木兎さんから予告通りのメッセージが届いた
《東京代表決定戦で勝ったチームには歩からご褒美があるらしい》
黒尾さん…将来のこととかちゃんと考えてるんだなぁ
目の前の試合に勝つ
目の前の一点を取る
その気持ちに嘘偽りはないけど
高校を卒業しても俺たちの人生は続いていくわけで
3年生からしたら、それはもう間近に迫った問題なんだろう
木兎さんは絶対バレーを続けるだろうけど
俺は卒業したらどんな進路を選ぶんだろう
バレーを続けるというだけでも色んな道がある
進学して大学のバレー部に入るのか、社会人チームに入るのか
プロになるのか、はたまた海外に行くのか
今俺たちはみんな
高校の部活
その中でバレーをしてる
沢山の仲間、ライバル
その数だけの進路がある
今って一瞬なんだな
さっきグループ通話してた時
俺もこっそりスクショした
変な顔の木兎さんと
頬杖をついて怠そうな黒尾さんと
笑いすぎて泣いてる歩ちゃん
スマホを枕元に置いて目を瞑る
とりあえず今は代表決定戦のことだけ考えよう