第5章 VS白鳥沢
ー赤葦side
「俺は別に何もしてないよ」
『いえいえ、一緒に練習してくれたセッターが赤葦さんで良かったです』
歩ちゃんは最初から
月島のことばっかりだった
出会った時からずっと
自覚はないんだろうか
「もう木兎さんや黒尾さんには連絡した?」
『いえ、だってあの人ら一回電話したら、すぐオールさそうとするんで、一人につき一晩かかるじゃないですか』
一番に連絡してきてくれたのは素直に嬉しい
「あはは、確かに」
『あ、今いいこと思いつきました!2人に一斉にグループ通話します』
「木兎さんと黒尾さんと歩ちゃんのグループ通話とか」
『カオスやと思ってるんでしょ?ほな赤葦さんも混ざってくださいよ』
笑いながら彼女が言う
初めて合宿で出会った時
キレイな子だなって思った
マネージャーのいない音駒の選手たちのために雑用を買って出たって聞いて、益々興味が湧いた
木兎さんや黒尾さんにも物怖じせずに向かっていくくせに、チームのために自らを犠牲にするような面もあった
月島とは付き合ってないって言ってたけど、意識はしてるに決まってる
離れてる距離がもどかしい
どうやったって自分にチャンスが巡ることなんてないんじゃないか
『そやそや、私研磨さんと約束したんですけど、東京代表決定戦11月ですよね?どうしてでも行きますからね!』
「え?学校は?」
『普段真面目にやってるんで大丈夫です』
「そういう問題?」
『だってそんなん見たすぎるもん』
いや、そりゃ見に来てくれたら嬉しいし
木兎さんの士気もブチ上がりだろうけど
「無理はしちゃダメだよ」
『はーい』
「じゃあ、一旦切るね」
そう言って終話ボタンを押し、部屋にあった鏡に目をやる
髪型とか変じゃないだろうか
そわそわしていると
木兎さん、黒尾さん、俺が歩ちゃんによってグループに招待される
全員が参加したのを確認した彼女が通話を開始する
左上に木兎さん、右上に黒尾さん、左下に歩ちゃん、右下に俺が表示される
木『へいへーい!歩!烏野、ウシワカ倒したらしいな!おめでとう!』
黒『何でグループ通話なわけ?サシでかけてこいよ』