第5章 VS白鳥沢
「月島くん反応早くなってきてるね」
「ツッキーは黒尾さん仕込みのリードブロックやからな。止めることより触ることだけをずっとずっと徹底してきた」
ツッキーから繋がったボールがセットアップされる
翔陽が翔ぶ
バックアタック!
入った!
と思ったボールはウシワカがすごい体勢でレシーブ
しかもそこから自身でスパイク
翔陽の顔面レシーブ
繋げ!
繋げ!
繋げ!
ウシワカのスパイク
3枚ブロック
ずっとクロス側を締めてたのに、ストレート側に跳ぶ
絶対ツッキーや
ずっとクロス締めてたのに最後の最後でストレートを締める
ゾクリと冷や汗が流れる
ずっとこんなこと考えて…
私が思うよりもっと
もっともっともっと
ツッキーは先をいってた
私がおらんとあかんなんて思い上がりもいいとこ
ウシワカの体勢が乱れながらクロス側にスパイクが放たれる
乱れたように見えたのにすごい威力
影山くんが吹っ飛ばされながらなんとかレシーブする
けどなんで影山くんがそこに?
もしかしてストレート締めるっていう指示があって、咄嗟に翔陽と場所変わったん?
化け物やん
稲荷崎ってゆー強豪から来て、エラソーにみんなのこと知ってる気になってたのが恥ずかしい
この人ら全員
化け物やん
ほんでこっちにも化け物
ビリビリビリビリ
会場全体がウシワカの圧に押さえつけられてるように空気が振動し、息苦しささえ感じる
大きく弾かれたボールを大地さんが拾って東峰さんが打つ
相手ブロックに当たり弾かれる
握った手のひらに爪が食い込む
田中さんがレシーブして影山くんにボールが繋がる
翔陽は飛び出さない
マイナステンポを棄てて
みんなに紛れる
全員が同時に走り出す
俺が打つ
俺が
俺に
僕が
全員から気迫が立ち込める
影山くんのトスアップが翔陽の掌に吸い込まれる
ドーーーンッ
白鳥沢のレシーブに当たったボールが床に転げ落ちる
ピーっと笛が鳴り
烏野21:19白鳥沢
と得点表がめくられた