第5章 VS白鳥沢
ー歩side
ツッキー
テーピングはしたけど
絶対めっちゃ痛いやんな
それでウシワカのスパイク止めに行くとか…
男らしすぎるやろ
手を握った時
試合が終わった後、私の指なんかどうなっても構わんから
ツッキーの手に力を授けてくださいって祈った
先に戻ったやっちゃんが烏野応援団にツッキーの状況を説明してくれる
2階に上がる
あれ?及川さん?
「応援しに来てくれたんですか?」
及川さんと岩泉さんに声をかける
「するわけないじゃんバーカ」
「ですよね」
「眼鏡くんは?」
「脱臼したとこをテーピングでガチガチにしてます、多分めっちゃ痛いと思います」
「そ、歩ちゃん、眼鏡くんが負傷した時、叫びながら走ってったね」
「階段転げ落ちるとこでした」
コートを見つめながら話す
ウシワカのスパイク
ツッキーがブロックに跳ぶ
痛いやろうな
「ワンタッチィィィィ」
ツッキーの叫ぶ声がする
「あいつ、あんなだっけ?」
及川さんは首を捻る
「男子三日会わざれば、刮目して見よ…ですね」
「昨日会ったし」
「確かに、でも私なんか毎日会ってたのになぁ」
ペコっと及川さんに礼をして仲間のもとに戻ろうと歩き出す
「歩ちゃん…俺、昨日教えてもらったけど君に連絡するのはやめとくよ」
「そうですか」
「負け戦する気はないからね」
意味はよくわからなかったけど、私は2人に一礼して烏野ギャラリーに戻る
「月島くん、大丈夫かな?」
やっちゃんが心配そうに言う
「大丈夫ではないやろな、多分ボールに手が触れる度、激痛やと思うわ」
手すりから身を乗り出し、ツッキーを見つめる
全然集中力が切れへん
確実にワンタッチを取る
デュースになって何ターンやろ
烏野19:18白鳥沢
ほんまやったらとっくに決着ついてるはずやのに
フルセットのあげく、この延長戦とも言える時間
烏野は足もボロボロ、満身創痍なんが上からでも分かる
ノヤさんのスーパーレシーブでなんとか首の皮一枚繋がってる
でも、攻撃に転じて2連続得点するにはブロックが必要
私の全てをあげるから
ツッキーの手に力を与えてください
「ワンタッチー!」
激痛が走るであろう手でボールに触れる