第5章 VS白鳥沢
戻った時どう動くか
そればかり考えてた
このローテの場合は…
ブロック三枚の時、ラストは…
ブツブツと考え続ける
やるんだ
最後まで戦う
処置を終え、アリーナの前に立つ
まだ試合が終わった様子はない
「歩にお願いがあるんだけど」
「なに?何でも言って」
「さっき清水さんが菅原さんにしたみたいに、手握ってくんない?
もう少しだけ…僕に力をちょうだい」
歩は驚いた顔をしたけど、すぐにギュッと僕の両手を握り、力を入れる
もちろん小指は避けて
「少しと言わず、私の力全部持ってって」
真っ直ぐ見つめる歩
その瞳に僕が映ってるって分かる
力が漲る
僕はアリーナに踏み出す
烏野14:15白鳥沢
「血は止まってます、脱臼した所はガチガチにかためてもらいました、小指なのでプレーへの影響は最小限です」
早口でコーチに捲し立てる
我ながら今の話し方歩ソックリの圧の強さ
影山のツーアタックで同点に並び、成田さんと代わってコートに戻る
正直指の痛みは全く変わらない
でもー
「無いと思うけど遠慮なんていらないから」
影山に言うと
「無いと思うなら言うんじゃねぇよ」
思った通りの答えが返ってくる
東峰さんがサーブを放ち、相手のセッターが上げる
ウシワカのスパイク
怯まず跳べ!!
強烈なスパイクを掌に受ける
身体中に電流が走ったかと思う衝撃
っ痛ぇ…
馬鹿じゃないの
こんなの
日向じゃあるまいし
最後まで戦ってみたいなんて
歩はさっき
男の子が変わるのは一瞬
そう言った
僕は変わっただろうか
君の瞳にうつる男に
「ワンタッチィィィ!」
思いっきり叫んだ