第1章 出会い
ー月島side
勉強会とかだるい
せっかく期末終わったのに
別に合宿なんて参加できなくてもいいのに
たかが部活でしょ
でも僕の知らないところで勉強会されるのも何かムカツク
部室に入ると、まだ誰もきていない
そう言えば今日はHR早く終わったからか
一番乗りとかやる気満々みたいじゃん
「ツッキー!!」
急に部室のドアが開けられ橘さんが入ってくる
「ちょっと!ノックぐらいしなよ!ここ男子の部室なんだけど」
「え、なんで?」
「僕が着替えてたらどうすんのさ」
「逆やったらアウトやけど、別にいいやん。私兵庫いた時、近所の一個上に双子の男の子がおって、しょっちゅうフルチンで追いかけられてたし」
もう、本当なんなのこの人
「そやそや、先生がこのプリント配り忘れてたからって、はい!」
彼女は悪びれもせず、プリントを差し出す
手を伸ばしてプリントを受け取った手首をギュッと掴まれた
え?
積極的すぎ…
「ツッキー!手首のボタンとれそう!つけてあげるし脱いで」
「え?」
なんだ
びっくりするじゃん
「別にいい」
「よくないやろ、帰ってお母さんに頼む方が恥ずかしいやん。どうせ着替えるんやから、脱いだらちょうだい。外で待ってるわ」
そう言って彼女は部室から出て行った。
なんでサラッとそういうトコ気づくかな…
デリカシーないかと思えば妙に女の子らしい面があって
意外
この1ヶ月で何度そう思ったことか
部室の外にいる彼女にカッターシャツを手渡す
「じゃあ、おねがい」
「了解ー」
彼女はカバンから小さな裁縫セットを取り出す
「誰もいないし、中でやれば?」
「そうする」
もう一度2人で部室に入る
僕は無口だからあまり話が弾む方ではないけど、橘さんはずっと話してくれるから、気まずい空気になったりしないし、案外一緒にいるのは楽しい
彼女が僕を全く意識してないからだろうけど
「ツッキー弟やろ」
針に糸を通しながら橘さんが話しかけてくる
「え、そうだけど何で?」
「やっぱり!弟気質やと思った」
「あっそ」
「お兄ちゃん?お姉ちゃん?」
「兄ちゃん」
「ほなツッキー次男やん!私三姉妹の長女やし、婿養子に来る?」
「やだ」
何とも思ってないくせに