第4章 代表決定戦
「戦術的選手交代だな」
滝ノ上さんが言う
「しぇんじゅちゅて…
冴子さんがテンパる
「負傷交代じゃなく、流れを変えるために戦術的に交代させるってことだよ」
「誰と交代なんやろ?」
ツッキーがサーブのタイミングで交代の笛が吹かれる
確かにツッキーはブロックの要やし、後衛のターンは守備が弱くなる
そこでスガさんが入る
サーブは相手の16番に取らせるようなトコロ
「うまい!」
16番にファーストタッチさせることで、スパイクの助走を取らせない作戦
思っててもその場所に打てるとは限らへん
やっぱり…
スガさん出る気満々やったやん
次のサーブも16番の前
青城がイラだつのが分かる
烏野コートに戻ったボールを大地さんが拾う
キュッ⇄
影山くんとスガさんのポジションがスイッチし
スガさんがトスを上げる
そのボールを影山くんがキレキレストレートで打ち下ろす
みんなずるい
かっこよすぎる
思わず前のめりになる
「ちょ、歩ちゃん、それ以上いったら落ちるから!」
「はっ!あぶな」
「ツーセッターだな」
と滝ノ上さんが言うと冴子さんが
「戦術的ワンポイントツーセッター!」
と必殺技のように叫ぶ
あと一点というところまで来たが、向こうのポイントが入ってスガさんは下がる
まだまだ点を獲ってやりたかったっていうようなギラギラした目で相手チームの方を振り返り、コートを出るスガさんにゾクっとする
「闘志メラメラやん…」
でもそこから16番の猛攻に遭い、烏野は絶体絶命
あの人さっきまでより攻撃決まってきてる
ベンチに目をやる
「山口くん…」
「山口くんさっき様子おかしかったけど、大丈夫かな?」
「ああ、やっちゃんと踊ってた時?」
「おど?」
「こっちの話。山口くん大丈夫ちゃうかな?だって、こっから見てても闘気伝わってくるもん」
「うん…忠は大丈夫」
島田さんが頷く
「師匠が言うなら絶対大丈夫ですね」
交代の笛が吹かれる
「山口くーーーん!一本ナイッサーーーー!」
やっちゃんと合わせて叫ぶ
ピーーッ
サーブ開始の笛が吹かれる
いつも焦って打ってる印象やったけど、今は違う
たっぷり時間を使い
ゆっくりサーブを放つ
私らは固唾を呑んで見守る