第4章 代表決定戦
次の日の試合
VS和久谷南
「あれ、向こうにも翔陽くらい小柄な人いるなぁ」
「そうだね、あと家族総出の応援団がいるね」
「ほなこっちの応援団も負けてられへんな!」
「お、やってるやってる」
「冴子さん!お疲れ様ですっ!」
田中さんのお姉さん、冴子さんが観覧席に上がってくる
冴子さんはテストの補習で遠征に来られなかったはずの翔陽と影山くんを東京まで連れてきてくれた救世主
「歩チッス〜」
「冴子さん、その節はお世話になりました」
「だっはっは、気にすんな気にすんな!向こう家族総出の応援団いるじゃん、こっちも気合いいれてくよー!愛してるぞ〜龍〜!」
冴子さんの声に気付いた田中さんが振り返り恥ずかしそうに顔を赤らめている
普段お調子者の田中さんも冴子さんの前だとただの弟になるから面白い
序盤から翔陽と向こうの1番、小柄な選手との打ち合いになる
「翔陽もすごいけど、むこうの1番はもっと考えてるなぁ」
「そうなの?」
「翔陽の手にわざと当ててブロックアウト狙ったりすんのがめちゃくちゃ上手い」
「じゃあ日向より上?」
「翔陽は早いし高い、でもまだ技術がな…」
「そんな…」
「でもこれは翔陽と1番の戦いちゃうから、6人で強い方が勝つ。烏野は負けへん」
大地さんが影山くんに何かを話しかける
そこから東峰さんにトスが上がることが増えた
そっか
翔陽は向こうの1番に勝つ必要なんかないんや
そうやって翔陽に気を取られて、ブロック1枚つける時点でウチの思う壺
だって翔陽は最強の囮なんやもん
翔陽に注目が集まることで東峰さんや田中さんが動きやすくなること、大地さんは分かってる
それをさっき影山くんに言ったんかもな
すごいな大地さん
私ら一年生は、あと2年ぽっちではあんなにすごい人に追いつけへんわ
長いラリーが続く
祈るように見つめる
レシーブが返って相手コートに落ちる
「よしっ!」
あれ…大地さん?
大地さんがコートに倒れている
「大地さんっっっ!!」
私とやっちゃんは走って階段を駆け降りる
大地さんは顔を強打したようだ
抜けた歯を手に持ってこちらに歩いてくる
「大地さんっ!大地さんがおらんかったら…」
「橘落ち着け。大丈夫、あいつらなら」