第4章 代表決定戦
ー歩side
いよいよ今日から宮城県代表決定戦
仙台市体育館に足を踏み入れる
私とやっちゃんにとっては初めての場所
「ドキドキするなぁ」
「うんっ」
体育館の前に立っていると
「あ、メガネの可愛こちゃーん、今日こそ連絡先教えてねー」
潔子さんが他校のチャラそうな部員に絡まれている
ノヤさんと田中さんがすかさず戦闘態勢に…
翔陽と影山くんは体育館の入り口までダッシュする
「ちょっ…」
2人を追いかけて体育館に入ると、青城のメンバー数人が入り口にいるのが視界に入った
「あれ?」
あれは国見くん
挨拶をしようと近づくと、向こうも気がついたみたい
「あ、橘さ…
「あれ?!君、及川さんの彼女?!」
国見くんとの間に知らない部員が入ってきて遮られた
「え?及川さんの彼女?」
どっかに及川さんの彼女がいるんかな
私は後ろを振り向く
「違う違う、君だよ君!」
「え、私?!」
「矢巾さん、勘違いじゃないですか?」
国見くんが割って入る
「いーや、間違いないね!こんな美人見間違えるわけないでしょ!俺が言うんだよ俺が!」
国見くん以外のメンバーは何となく納得してる雰囲気やから、この矢巾さんって人は一度見た女性は忘れへん的な能力の持ち主なんやろか
「いや…確かに及川さんといたかもしれないですけど、彼女ではないです。全然」
「え、そうなの?!いい雰囲気だったからてっきり」
「そんなことなかったと思いますけど…あ、そうそう国見くん!今日会えたら渡そうと思ってたから、会えて良かったわ」
「あ、なに?」
「こないだ借りたタオル」
紙袋に入れたタオルを手渡すと、国見くんが中身を確認して
「もう一枚あるけど…新しいのなんて良かったのに」
「いや、お礼やし受け取って!これ見つけた時、青城カラーっぽいなって思って」
「あ…ありがとう」
「ちなみに一回洗濯したから、今日からすぐ使えるし!ほなね!」
烏野のみんなが見えた
私は青城の人たちにペコっと一礼して
仲間のもとに向かって走り出した