第15章 BOOST
「蛍…」
「蛍…じゃないよ、君って子はほんと…こんな硬い床の上で、よくそんなグッスリ寝られたもんだね」
「あう…」
「教室に行ったら谷地さんが、歩はまだ戻ってないとかゆーし、探したら薄暗い体育館で…本当…転がってるし、ちょっとしたホラーだから」
「金田一少年の学園七不思議的な?」
「起きた途端、キレキレだね」
「ふふ、あれみんなは?」
キョロキョロと辺りを見回す
てか私烏野高校排球部の黒ジャージ被ってる…蛍が起こす前にかけてくれたんやろか
「多分体育祭の準備でまだなんじゃないかな?なんか3年と思しき…てか田中さんと思しき…てか田中さんが、ダンジリみたいなのに乗って、校庭走ってたし」
「どういう状況?!でもまぁ今年体育祭ラストの3年生は別として、翔陽とか影山くんとかは<バレーかなと思うんやけど」
と、話していると、体育館の扉が開き翔陽と影山くんが同時に踊り込んできた
「俺のっ勝ちだぁぁぁ!」
「させるかぁぁぁー!!!」
ドガシャーン
絡まりながら倒れ込む2人に冷ややかな視線を向けていると
翔陽が
「おう!歩起きたか!」
と満面の笑みを見せる
え…私寝てるの…2人に見られてた?
蛍の視線がジトっと突き刺さる
またこの鈍感天然ワキ甘隙だらけと言わんばかりに…
「聞いてくれよ歩!」
言いながら翔陽が近づいてくる
「俺がさー!「歩こんなとこで何してんだーーー!風邪ひくぞーーー!」って近づいてったら影山(コイツ)がさー「おい、やめとけよ、疲れてんだろ…そっとしといてやれよ。先、走りに行くぞ」とか言っちゃって、わざわざロッカーからジャージ取ってきちゃって、歩に自分のジャージかけちゃってー」
「クソボケドチビが!しょーもねぇことベラベラ喋ってんじゃねーぞ!」
「はは、王様照れちゃって可愛い!」
「うるせえ!日向ボケェ!」
そっか…これ、影山くんが…
「影山くん、ありがとう」
私が言うと蛍が横から
「王様、ちゃんと洗ってあるジャージだったわけ?」
と嫌味たっぷりに言う
「たりめーだろ、橘さんに俺が着た後のジャージなんて着せるわけねーだろーが」
そう言って影山くんは私の手からジャージを受け取る