第14章 NEXT LEVEL
「いや、そういうことじゃなくて…いつかはそりゃって思うけど、今すぐとかでなく…全然!結婚強要してるとかそんなんちゃうし!」
って真っ赤になって慌ててる姿が可愛すぎて、ついつい意地悪がエスカレートする
「そうなの?誘われてんのかなって期待したんだけど」
「や!誘ってないしってゆーかこんなとこで誘うわけないし!」
「ふぅん…こんなとこじゃなかったら誘ってくれるの?歩の方から」
「ちょ、そんなこと言ってないもん」
「ねぇ、教えて。どんなとこならいいの?」
段々と顔を近づけていく
「ッッ…もうっ!!」
「答えてよ、歩が煽ってきたんでショ?」
「ごめんって!それはほんまにそんなつもりでは…」
「暗いとこいく?」
「いかへんっ」
「ふーん…明るいところがいいんだ」
「言ってません!」
本当焦っちゃって可愛い
「顔真っ赤だけど」
「だって蛍がイジワルするから」
そう言って歩は手のひらで顔を覆う
「そうだね、わざとイジワルしてるかも…嫌い?」
「うう…好き」
指の隙間からチラッとこちらを見る仕草がたまらなくて、思わずギュウと抱きしめた
「僕も好き」
「蛍…」
「だからイジワルしたくなるし、時々たまらなく不安になる」
あー、なんか今日は恥ずかしいこと、いつもなら絶対言わないようなこと、正直に言ってしまってる
「不安?」
「…うん、僕ばっかり好きなんじゃないかって」
「それはない!!」
被せ気味に歩が言う
そしてギュウと力強く僕を抱きしめ返す
「蛍、めっちゃ大好き。語彙力なくてごめん…でもこれ以上なんも出てこーへん」
僕の胸元に顔を埋めて、小さく呟く歩
「充分」
そう言って額にキスをした
僕らはまだ高校生で
先のことは分からない
だから一生離れないだとか生涯愛し続けるだとか、無責任な言葉を使ってしまえば、たちまち嘘臭くなってしまう
だから、めっちゃ大好きっていう歩の言葉は、今この瞬間の僕を満たす最上の言葉だった
本当は先の未来を約束して安心したいけれど、その楽しみは未来の僕のために取っておくことにした