第14章 NEXT LEVEL
ー月島side
赤葦さんと話し終わって、無性に歩に会いたくなった
僕は捻くれてるし、歩のことになると途端余裕がなくなってしまうけど、それでも赤葦さんに言われたように歩が選んだのは僕だって、それだけはちゃんと自信を持って言える
歩のいる部屋は確か…と森然高校の宿泊棟で辺りを見回していると、明らかに一室から歩の声が聞こえてくる
多分誰かに…恐らく谷地さんに話してるんだろうけど、部屋に1人なんじゃないかって心配になるぐらい歩の声しか聞こえなくって、思わず笑いが込み上げてくる
コンコンと扉をノックすると、近づいてくる足音だけで誰だかわかった
「わっ、蛍」
当の本人の方は予想外だったのか驚いたように言う
「外まで歩の声聞こえてた」
「私だけ?!」
「そう、1人で喋ってるのかと思った」
「そんなわけないやろ、で、なに?それを注意しにきてくれたん?」
不服そうに口を尖らせる歩に話があることを伝えると、後ろにいた谷地さんが
「歩ちゃん、私たちに構わず月島くんと逢引して!」
と快諾してくれた
逢引って言葉に過剰反応して慌てる歩が可愛くて、ついつい意地悪したくなる
部屋から彼女を連れ出して隣を歩いていると
「蛍ってさ…短髪やから分からんかったけど、結構クセ毛?」
なんて言って、歩は急に僕の髪に触れる
ッッ…
ほんとそーゆーとこ
さっきまで逢引に過剰反応してたくせに、こうして無自覚に僕に触れてくる
「そう、だから伸ばさないんだよね。セッティングが面倒」
努めて平静に答えようとしてるのに
「でもパーマいらずやん?ふわふわで可愛い」
って笑いかけてくる
「そりゃどーも」
ってニヤケそうになるのを必死で堪えるしかない。
なのに…
「私って髪ぺったんこやん?だから子供が産まれたら蛍に似たふわふわの髪の子がいいな」
「…子供?」
なんで追い討ちをかけてくるわけ?なに?誘ってんの?
無自覚天然男たらしは僕にも発動させるの?
…と、歩も失言に気づいたようでヤバイって顔してるのを見て、形勢逆転
「ふぅん、歩僕の子供が欲しいの?」
そっちがその気ならとここぞとばかりに反撃する